テレホン法話
~3分間心のティータイム~

【第1219話】「マンネリズム」 2021(令和3)年11月1日~11日


 お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1219話です。

 漫画を読むとき、主人公の顔や姿を追いかけますが、その血液型まで詮索することはあまりないでしょう。劇画「ゴルゴ13」の主人公デューク東郷には、血液型が設定されてます。A型だそうです。

 「ゴルゴ13」は、「ビックコミック」に、1968年から連載されている長寿漫画です。それだけ長い間の物語の中では、血液型が話題になることもあるのでしょう。単行本は202巻発行され、累計発行部数は3億部を超します。「最も発行巻数が多い単一漫画シリーズ」としてギネス世界記録に認定されました。

 しかし、残念がらその漫画を描いてきたさいとう・たかをさんが9月24日に84歳で亡くなられました。さいとうさんは、50年以上一度も休まず連載してきました。そしてこんな言葉を残しています。「プロとはマンネリズムを恐れず、ひたすら眼前の仕事に向かうことだ」。50年休まず連載し続けてきた実績を思えば、説得力のある言葉です。「マンネリズムを恐れず」とは、下手な言い訳をするより、先ず続けてみなさいということではないでしょうか。私たちは、やらない・できない理由はすぐ見つけます。「ひたすら」の心があれば、そんな理由は消えてなくなるはずです。

 さいとうさんの足元にも及びませんが、私もこのテレホン法話を34年間休まず継続してきました。今年4月1200話を達成し、それを記念した15回目のテレホン法話ライブを、10月24日に開催しました。さいとうさんの話も引きながら、「伝える・続ける・繋がる」をテーマにしました。マンネリズムと言われようが、長く続けていれば、3分間の話でも何がしか感じてもらえることもあります。共感した者同士て繫がりが生まれることもあります。「継続は力なり」とは言うものの、「継続する力」がなければ、続けられません。健康や固い意思を持ち続けられることも力のひとつでしょう。

 そんなことを伝えたくて「皆勤賞」の話もしました。学校などに無遅刻無欠席で通い続ける尊さについてです。そしたら参加者のアンケートに「毎日生きていることも皆勤賞かしら」という意見がありました。確か毎日生きているという点では、立派な皆勤賞かもしれません。ただ仏の教えに生きる者は、ワンランク上の皆勤賞を目指しましょう。息をして、寝て起きて食べるのは、マンネリズムの最たるものです。でも下手な言い訳で、今日はもうどうでもいいや、どうせまた明日があるからと思わないことです。毎日同じような日でも、今日という日は2度と繰り返すことはできないのです。どんなことがあってもひたすらに生きてこそ、(みな)金賞に輝く、 皆勤賞です。

 因みに、「ゴルゴ13」の結末について、さいとうさんは「よく聞かれますが、私の頭の中にはあります。いつ日の目を見るかわかりませんが」と言ってました。あの世でも皆勤賞を目指すのかもしれませんね。

 それでは又、11月11日よりお耳にかかりましょう。

最近の法話

【1321話】
「0歩目の奇跡」
2024(令和6)年9月1日~10日

お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1321話です。 1996年8月21日(水)甲子園の決勝戦は、松山商と熊本工。3対3の同点で10回裏熊本工の攻撃、1死満塁で3番本多選手。松山商は絶体絶命のピンチ。監督は守備交替で矢野選手をライトに起用。その直後、本多選手の打球は高々とライトへ、3塁ランナーは俊足の星子選手。実況中継も「行った、これは文句なし」と断言したほど、熊本... [続きを読む]

【1320話】
「必死すなわち」
2024(令和6)年8月21日~31日

住職が語る法話を聴くことができます お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1320話です。 パリ・オリンピックの新競技「ブレイキン」は、1970年代アメリカニューヨークの貧困地区の路上が発祥。縄張り争いに疲れたギャングのボスが「音楽と踊りで勝負しよう」と呼びかけたのが始まりとか。オリンピックにふさわしいです。 オリンピックは元を糺(ただ)せば、戦争の代わりに様々な争... [続きを読む]

【1319話】
「お盆の結集(けつじゅう)
2024(令和6)年8月11日~20日

住職が語る法話を聴くことができます お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1319話です。 「如是我聞」(かくの如く我聞けり)と、お経は始まります。お経はお釈迦さまの教えですが、当初それは文字で記録されませんでした。後に聞いた記憶をたどって、経典が編集されました。よって、「私はこのようにお釈迦さまの言葉を聞いた」という断りを最初に述べるわけです。 お釈迦さまが亡くな... [続きを読む]