テレホン法話
~3分間心のティータイム~

【1311話】「マンダラチャート」 2024(令和6)年5月21日~31日

 お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1311話です。

 昨年大リーグで二刀流の上、本塁打王にも輝いた大谷翔平選手。今年も活躍しています。その原点は高校時代にあったようです。岩手県花巻東高校の1年生の時、佐々木洋監督に教えられた「目標達成シート」の作成です。

 これは「マンダラチャート」ともいわれます。9×9の合計81マスに、細分化した目標を書き込むのです。まず中心に3×3の9マスがあり、その真ん中に一番の大目標を書きます。残りの8マスに大目標達成のための中目標を書きます。8つの中目標達成のために、それぞれ8つの小目標を設定します。こうして達成すべき具体的目標を記し、日々そのために惜しまず行動する訳です。

 大谷選手の大目標は「ドラ1 8球団」でした。つまり高校卒業時にプロ野球の8球団からドラフト1位指名を受けるということです。そのための中目標として、1.体づくり 2.人間性 3.メンタル 4.コントロール 5.キレ 6.スピード160キロ 7.変化球 8.運 という8つを挙げています。高校生で160キロもの球を投げるというのはかなり目標が高いのですが、実現できたのですから凄いとしか言いようがありません。

 勿論野球の上達だけで満足していません。たとえば8つ目の運を呼び込むために次の8つを目標にしています。1.あいさつ 2.ゴミ拾い 3.部屋そうじ 4.道具を大切に使う 5.審判さんへの態度 6.プラス思考 7.応援される人間になる 8.本を読む なるほどと思うことばかりです。球場でごみをそっと拾い、ユニフォームのポケットに入れた自然なふるまいは誰もが感心しました。日本中のおよそ2万校の小学校に、3個ずつ計6万個のグローブを寄贈しました。子どもたちに野球をして楽しんでもらいたいという思いと、野球を愛し道具を大切にしてきたればこそです。すべては自分が一番野球を楽しいと思って、目標達成シートの一つひとつに向き合いながら、トレーニングを重ね現在の結果を出してきた顕れでしょう。

 ところで目標達成シートをマンダラチャートといういわれは、チャートは表や図表ということで、マンダラは、密教の世界観を表わす曼陀羅図のことです。中心に仏や菩薩の姿が描かれています。その周りは仏に至るため、つまりお悟りを得るための教えや法則を象徴する色や形で荘厳されています。お釈迦さまの教えを分かりやすく可視化されたものともいわれます。

 私たちの大目標は何といっても、仏になることです。お釈迦さまの教えを学び、実践することで、仏さまの境地で清々しく生きるということです。そのために大谷選手のように、挨拶や掃除をしっかりすることは基本中の基本です。ある人がこう言いました。「毎朝、自らに問いかける。なぜ、お前は目覚めたのか、『その答えが目的になる』」。なぜ起きたか問いかけてみましょう。今日も目覚めることができて有り難い、今日はどんな仏になろうかと思えたらしめたものです。その目標に向かえば、楽しく掃除ができます。
 
 それでは又、6月1日よりお耳にかかりましょう。

最近の法話

【1321話】
「0歩目の奇跡」
2024(令和6)年9月1日~10日

お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1321話です。 1996年8月21日(水)甲子園の決勝戦は、松山商と熊本工。3対3の同点で10回裏熊本工の攻撃、1死満塁で3番本多選手。松山商は絶体絶命のピンチ。監督は守備交替で矢野選手をライトに起用。その直後、本多選手の打球は高々とライトへ、3塁ランナーは俊足の星子選手。実況中継も「行った、これは文句なし」と断言したほど、熊本... [続きを読む]

【1320話】
「必死すなわち」
2024(令和6)年8月21日~31日

住職が語る法話を聴くことができます お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1320話です。 パリ・オリンピックの新競技「ブレイキン」は、1970年代アメリカニューヨークの貧困地区の路上が発祥。縄張り争いに疲れたギャングのボスが「音楽と踊りで勝負しよう」と呼びかけたのが始まりとか。オリンピックにふさわしいです。 オリンピックは元を糺(ただ)せば、戦争の代わりに様々な争... [続きを読む]

【1319話】
「お盆の結集(けつじゅう)
2024(令和6)年8月11日~20日

住職が語る法話を聴くことができます お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1319話です。 「如是我聞」(かくの如く我聞けり)と、お経は始まります。お経はお釈迦さまの教えですが、当初それは文字で記録されませんでした。後に聞いた記憶をたどって、経典が編集されました。よって、「私はこのようにお釈迦さまの言葉を聞いた」という断りを最初に述べるわけです。 お釈迦さまが亡くな... [続きを読む]