テレホン法話
~3分間心のティータイム~

【第1295話】「一並びのお守り」 2023(令和5)年12月11日~20日

 お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1295話です。

 「縁起でもない」ということもあれば、「縁起をかつぐ」場合もあります。縁起でもない縁起をかつぐ人はいないでしょう。縁起って何なのでしょう。12月8日は、お釈迦さまが、お悟りを開かれた日です。そのお悟りが、実は「縁起」なのです。

 お釈迦さまはお悟りで、「縁起の法」に目覚められました。それは、この世の一切のものは、相互に関係しあって存在しているということです。あらゆるものは因縁によって生じるとも言えます。花という存在は最初から花だったのではありません。種を蒔くという原因が必要です。更には水や光などの縁に恵まれなければなりません。結果として、美しい花を咲かせることがあるわけです。

 私たちが「縁起でもない」とか「縁起をかつぐ」のも、すべてはこの世に生まれてきたという原因があるからです。ですから、様々な原因は誰にでも備わる可能性があります。それを選択するかしないかは、その人の人生観や価値観の判断が大きいかもしれません。選択したとしてどのような縁をつないで、良い結果に結びつけるかは、まさにその人の生き方次第です。

 東日本大震災という原因で本堂などすべてが流出した徳本寺の末寺の徳泉寺は、本尊さまだけが無事でした。どんな災難に遭っても人々の支えになる一心で踏み止まったと信じて、「一心本尊」と名付けました。奇跡の本尊の下に、全国から寄せられた「はがき一文字写経」の縁により、本堂が再建されました。その因縁に導かれて、昨年3月より毎月第2土曜日の午前に写経会を行っています。全国のご支援者に対する感謝の気持ちや、被災地復興・世の安寧を願う心を込めて写経していただき、一心本尊の下に納経しております。

 先月11月の写経会は、たまたま11日でした。そこでちょっと縁起をかついでみました。11時11分に、全員で一斉に「一」という文字を、カードに写経したのです。その「一」に仏教のシンボルの印鑑である「三宝印」を捺印しました。そしてカードの下の方には、「11月11日11時11分」と記して、「一」が9つ入ったオリジナルお守りカードを作りました。「災難消滅 諸縁吉祥」等を祈願して、みなさんにお授け致しました。九は永久でもあり、仏教では縁起のいい数字です。

 「一」は勿論「一心本尊」の一でもありますが、二つではない、つまり一つに成りきった迷いのない状態を言います。悟った姿そのものです。このお守りを持てば、どんな原因があろうとも、迷わず一心に取り組むことによって、良い結果を目指せますと念を押しました。11月11日にこの一並びのお守りを授かった人は、嘘のようですが「11人」でした。何と縁起のいい方々でしょう。

 ここでお知らせいたします。11月のカンボジアエコー募金は、1,509回×3円で4,527円でした。ありがとうございました。

 それでは又、12月21日よりお耳にかかりましょう。



一並びのお守り

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