テレホン法話
~3分間心のティータイム~

【1328話】「お舎利」 2024(令和6)年11月11日~20日

 お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1328話です。

 新米が出ると真っ先に、お寺に持ってこられ「ご本尊のお釈迦さまにお供え下さい」という檀家さんが何人もいます。ほんとうに有り難いことです。そのお下がりをいただく度に、「銀シャリ」を実感します。

 シャリは寿司屋の符丁ですし飯のことです。お釈迦さまの遺骨はインドの言葉「シャリーラ」を音訳して「舎利」あるいは「仏舎利」とか「お舎利」と言いますが、白くて米粒に似ていることから、ご飯をシャリと呼ぶようになったのでしょう。私もあるお寺で仏舎利を拝ましていただきましたが、米粒の感じでした。そして新米ともなれば一粒一粒が光っていてまさに「銀シャリ」そのものです。

 さて、大阪の四天王寺は今から1400年以上前の推古天皇元年(593)に、日本最初の官寺つまり国家が造った寺で、聖徳太子ゆかりの寺です。そして「日本書紀」によれば、30年後の623年には、新羅より仏舎利を贈られ四天王寺に納めたという記録があります。先日四天王寺お参りの際に、珍しい法要に巡り合いました。「舎利出(しゃりだし)」というものです。中心伽藍の金堂に安置されている「南無仏のお舎利」を出し奉り、毎朝供養して参詣者の頭上に戴くものです。そのお舎利は聖徳太子が信心した「お釈迦さまの左眸(ひだりめ)」と伝えられています。

 「舎利職」という導師を勤める僧侶が特別な作法で身を清めて堂内に入ります。「舎利礼文」というお舎利を讃えるお経が唱えられる中、舎利職はお舎利が入った容れ物を参詣者の頭上に触れます。お舎利を戴くのは、自分自身の信仰心を深めることになり、ご先祖さまや一切の亡くなった人への追善供養として功徳があるとされています。当日は外国人も多くいて、お舎利を頭に戴いていました。

 普段私たちがお釈迦さまを拝むといっても、仏像としてのお釈迦さまです。お舎利はお釈迦さまの紛れもないお身体の一部ともいえるものです。その尊いお舎利を自分の頭に戴けるとは、お釈迦さまと一体になることを暗示させるものなのでしょう。舎利礼文というお経には、「入我我入 仏加持故 我証菩提」という一節があり、仏の不思議な力によって、仏と私が一体となり、悟りを開きますとお示しです。そして多くの人々のために修行を積み、あらゆる徳を具えたお釈迦さまに近づけるようにという願いが込められています。

 徳本寺にはお舎利はありませんが、その分檀家さんがお供えする新米がお舎利そのものです。自分と仏さまが一体になっている供養の姿とも言えます。仏さまに見守られているおかげで、今年も立派な新米ができましたという感謝の思いも込められています。それを見てお釈迦さまは言うかもしれません。「私に新米というシャリを供えるとは、どんぴしゃりな供養だな」

 ここでお知らせいたします。10月のカンボジアエコー募金は、657回×3円で1,971円でした。ありがとうございました。
 
 それでは又、11月21日よりお耳にかかりましょう。

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