テレホン法話
~3分間心のティータイム~

【第1175話】「心密なるお盆」 2020(令和2)年8月11日~20日

 お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1175話です。

 旧暦の7月7日に行われるから七夕という字は納得しますが、「七つの夕」をどうして「たなばた」と読むのでしょうか。一説には、お盆との関りがあるとされます。先祖を迎えるため精霊棚を設置し、その棚に幡(ばん)という仏を荘厳する旗を飾ります。それを棚幡(たなばた)と言います。8月7日の夕方からその準備をしてお盆を迎えます。いつしかそれが七つの夕の七夕に転じたというのです。確かにこの辺りでは、7日にはお墓掃除が行われ、お盆の準備が始まります。

 さて、8月7日は毎年徳泉寺のお盆供養の大施餓鬼会の日でもあります。徳泉寺は私のもうひとつの住職地でもあり、東日本大震災の大津波で伽藍などすべてが流されました。しかし、全国の方より寄せられた「はがき一文字写経」の功徳により、今年3月に復興再建できました。そして今年のお盆はその新本堂で迎えられることになりました。

 勿論、新型コロナウイルス感染予防を心がけてのことです。消毒液やマスクの用意、堂内の換気や席の間隔を確保し、時間もできるだけ短縮して、3密を防ぐ工夫をしました。このご時世なので参列者も少ないだろうと思いきや、例年よりも多いくらいで、椅子に座れない人もいたほどでした。新本堂での初めてのお盆供養ということで、檀家のみなさんの意気込みがコロナを追い払ったかのようでした。

 事実、お盆供養の前に「疫病終息祈願大般若法要」を行いました。1300年以上前の奈良時代から行われている大般若経600巻を大勢の和尚さんで読んで、国家の安寧や幸福、病気平癒などを祈願するものです。読むと言っても膨大なお経ですので、転読と言ってお経本を扇のように広げて読む独特の作法があります。この時生じる「般若の風」が、迷いや災いを払拭して清浄な世界を醸し出すと信じられています。

 そして、「苦節九年」やっと我が家でご先祖さまを供養できるとの思いで、大施餓鬼会が行われました。参列者全員マスク姿ながら、心を込めた焼香により、その香煙は確かにご先祖さまに向かって流れていきました。きっとその香りを感じて、ご先祖さまはお盆の13日にそれぞれのお宅に帰ってこられることでしょう。

 ただウイルス感染拡大防止のため、お盆の帰省を控えて欲しいと、全国知事会では呼びかけています。今年のお盆は、ご先祖さまが帰って来ても、それを迎えてくれる人が少なくなるのでしょうか。いやいや、ご先祖さまが帰って来るとは、具体的に玄関の戸を開けて「ただいま」というわけではありません。私たちの心の中に、帰ってきてほしいと迎える気持ちがあるかどうかです。3密を避けて帰省できないとしても、どこにいようがご先祖さまをお迎えする心を失わないことです。ご先祖さまと私たちの心と心を密にして、心密(親密)なるお盆のひとときをお過ごしください。

 ここでお知らせいたします。7月のカンボジアエコー募金は、126回×3円で378円でした。ありがとうございました。

 それでは又、8月21日よりお耳にかかりましょう。


本堂に掲げられた施餓鬼幡

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