テレホン法話
~3分間心のティータイム~
【第874話】「願生(がんしょう)」 2012(平成24)年4月1日-10日
住職が語る法話を聴くことができます
お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第874話です。
子どもに「親に生んでくれと頼んだ覚えはない」と言われたら、どう答えたらいいでしょう。「隣の子どもにも頼まれたけど、それは断って、おまえに頼まれたから、おまえを生んだんだよ」と答えた人がいますが、これは笑い話です。親だって子どもを選べませんし、子どもも親を選べません。勿論、生まれる時代、国、性別、容姿など、何ひとつ選ぶことはできません。
「願生(がんしょう)」という言葉が仏教にはあります。願い生まれると書きます。「今是(かく)の如くの因縁あり、願生此娑婆国土(がんしょうししゃばこくど)し来たれり」。娑婆とは、シャーハというインドの言葉で、日本語では忍土と訳されています。つまり苦しみを忍ぶところで、人間界をいいます。私たちは縁あって、しかも願ってこの苦しみ多い世界に生まれてきたということです。もう少し言うと、願生とは、仏になって苦しみ多い世界にいる人を救おうという、誓願を立てて生まれることです。
4月8日はお釈迦さまが、お生まれになった日です。それは、まさに願生というべきもので、人々を安らぎの世界に導こうという願いの下に、お生まれになりました。生まれてすぐ、7歩あるかれたと伝えられています。六道という迷いの世界を超えて、迷い・苦しみのない清々しい世界を目指して、早く7歩目を踏み出しなさいということを説示したものでしょう。
東日本大震災から1年が経ち、何かにつけ、昨年からの苦しさ・辛さを思うことも多いことでしょう。生まれを選べないとしても、なぜ私が、千年に一度といわれるような、災難に出会う時代や場所に生まれたのかと、思う人もいるでしょう。誰が好きこのんで、苦しみ多い娑婆世界に生まれるものか、という思いもわかります。でも、選べないのです。その時に、私は願って今ここに生まれてきたのだと、思ってみて下さい。私が願ったのだから、何としてもその願いを果たそうという覚悟ができます。つまり、迷いがひとつ消えます。
少なくても、生きたいと願ったであろう、この度の多くの犠牲者の心を思ったとき、「願生」は、「願って生まれる」と「願って生きる」の両方の意味を帯びてきます。お釈迦さまがお生まれになった因縁に従うなら、この果てしない復興のへの道のりは、苦しみを伴うかもしれませんが、その苦しみを乗り越える7歩目を必ず踏み出すのだと願って生きていきましょう。それは生きたいと願って亡くなった人の思いを生きることでもあります。そうです、日本人はこれまでも、どんな娑婆世界をも乗り切ってきました。だから、ジャパニーズならぬシャバニーズと言われているとか・・・。
それでは又、4月11日よりお耳にかかりましょう。
最近の法話
【1329話】
「色褪せない思いやり」
2024(令和6)年11月21日~30日
お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1329話です。 個人的な話で恐縮ですが、11月21日で74歳になりました。古稀と喜寿の中間で、特別な意味はありません。またこのテレホン法話を始めて、今年で37年になります。これも40年にも満たず、特別感はありません。しかし、37年の倍が74年ということに気づきました。つまり我が半生はテレホン法話と共にあったということです。袈裟を... [続きを読む]
【1328話】
「お舎利」
2024(令和6)年11月11日~20日
住職が語る法話を聴くことができます お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1328話です。 新米が出ると真っ先に、お寺に持ってこられ「ご本尊のお釈迦さまにお供え下さい」という檀家さんが何人もいます。ほんとうに有り難いことです。そのお下がりをいただく度に、「銀シャリ」を実感します。 シャリは寿司屋の符丁ですし飯のことです。お釈迦さまの遺骨はインドの言葉「シャリーラ」を... [続きを読む]
【1327話】
「祇園精舎の鐘」
2024(令和6)年11月1日~10日
住職が語る法話を聴くことができます お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1327話です。 平安時代の頃、琵琶法師は琵琶を弾きながらお経を読みました。その後、平家物語に曲をつけて語る流れができました。仏教との関りは古いのですが、残念ながらこれまで、琵琶を聴く機会がほとんどありませんでした。 10月27日に徳本寺で行われた「第18回テレホン法話ライブ」で、やっとその心... [続きを読む]
テレホン法話
~3分間心のティータイム~
- 2024年
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2023年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2022年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2021年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2020年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2019年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2018年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2017年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2016年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2015年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2014年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2013年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2012年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2011年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2010年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2009年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2008年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月