テレホン法話
~3分間心のティータイム~

【1326話】「両手の作法」 2024(令和6)年10月21日~31日

  
 お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1326話です。

 「人間の歴史は手の歴史」と言ったのは、無著成恭さん。多くの動物は4本足で歩くので、手はなく自分でものを作れません。人間は2足歩行で、2本の手があり、田畑を耕したり、必要なものを作り、扱う作法もできます。

 さて、ある高名な布教師さんが、法話の会で滔々(とうとう)と説教をしました。仏さまの教えを分かりやすく説き、聴く人に感動を与えました。万雷の拍手を浴びて、退堂し控室に戻ってきました。そこには今まで布教師さんのお話を聴いていたある女性が、お茶の接待をするため待機しておりました。

 「布教師様、たいへんお疲れさまでした。とても良いお話で心が洗われました。ありがとうございました」「いやいや、駄弁を弄して失礼いたしました」と謙遜したものの、次の瞬間の布教師さんの行動を見て、その女性は一気に醒めてしまいました。女性は正座をしていましたが、布教師さんは戻ったばかりなので、立ったままでの受け答えでした。それは百歩譲るとしても、目の前の座布団の位置を、立っているその足で、ずらしながら座ろうとするのです。足で座布団を移動させるとは、なんと横柄な態度なんだろうと女性はがっかりしました。

 そして、先程の布教師さんの話の一節を思い出したのです。「威儀則仏法(いぎそくぶっぽう)作法是宗旨(さほうこれしゅうし)」という話の中で、仏になるために規律に適った立ち居振る舞いをするのではなく、立ち居振る舞いがそのまま仏法であると説かれていました。つまり間違ったことをしようと思っても、自分が仏と自覚すれば、とてもそんなことはできないということです。

 たかが座布団、されど座布団です。座るとき、多少の座布団のずれがあっても、膝を折って両手で直して座るのが仏法以前の作法というものです。高尚な仏法の話をしながら、言うことと成すことに乖離があっては、説得力がなくなります。

 楽だからと言って、手ですることを足でするようになったら、動物と同じです。こんな言葉に出会いました。「らくのなかに だらくがひそむ」ちょっとした気のゆるみの座布団の直し方で、布教師さんへの信用が台無しになるばかりか、仏の教えも価値がなくなります。そして私たちの両手は合掌という究極の作法ができることを忘れてはなりません。合掌は右手を仏、左手を自分とみなし、それがひとつになった姿です。自分の一挙手一投足は仏そのものであることを表しています。合掌のあと、ひらく両手に仏を宿しましょう。

 ここでお知らせいたします。10月27日(日)午後1時30分より徳本寺にて、第18回テレホン法話ライブを開催いたします。ゲストは琵琶奏者榎本百香さん。入場無料です。また、9月のカンボジアエコー募金は、883回×3円で2,499円でした。ありがとうございました。
 それでは又、11月1日よりお耳にかかりましょう。   

  

 

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