テレホン法話
~3分間心のティータイム~

【第1222話】「ロケット成道」 2021(令和3)年12月1日~10日


 お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1222話です。

 今年7月アメリカで、旅費を払っての宇宙旅行が実現しました。82歳の女性と18歳の少年を含む4人が、新型ロケットに搭乗し、地上100キロを超えて宇宙空間に到達。無重力を体感し、10分後地上に帰還しました。

 日本では、宇宙航空研究開発機構が、13年ぶりに宇宙飛行士の募集をします。これまでは自然科学系の大学卒、体重制限、水泳や英語の能力など厳しい条件がありました。今回は学歴や専門的な実務経験を不問にするなど、条件が大幅に緩和されました。将来の有人月探査を想定して、国際チームでの協調性とか、極限環境でも柔軟な思考で行動できることを重視しています。いずれにしても、宇宙を身近に感じられる予感がします。

 さて、仏教も宇宙を縁として誕生したとも言えます。今から2500年前お釈迦さまは、12月8日の明けの明星をご覧になり、お悟りを開かれたからです。お釈迦さまは幼少の頃より、生老病死への苦悩を抱えていました。出家して山の中で6年間の苦行に身を投じたものの、悩みの解決には至りませんでした。山を下り尼連禅河で沐浴をし、村の娘に乳粥の供養を受けて、心身を整え気を持ち直します。

 そして苦悩を解き明かし真理を得るまでは、この座を立たないという固い決意で、菩提樹の下に草を敷き、坐禅を始めました。ついに8日目の朝、東の空に輝く星を見て、大いなる感動を覚えました。「我と大地有情(うじょう)と同時成道(じょうどう)す」と叫ばれたのです。いわゆる「縁起の法」を悟られました。つまり花が咲き実がなるという結果は、種という原因がまず必要であり、土や水や光という条件の縁によってもたらされるということです。

 大地有情とは、この宇宙の生きとし生けるものすべてということです。我もその中のひとりです。右か左か、上だ下だと迷いの中に入るのではなく、宇宙とひとつであることを実感できれば、悩みは軽減できます。それにはやはり、お釈迦さまと同じように坐禅をすることです。お釈迦さまのように野外で坐禅をすることはありませんが、畳の上であっても尻に坐蒲を敷き足を組みます。その時、自分の身体が大地と垂直になっていることを意識します。頭のてっぺんで天を突くようなつもりで背筋を伸ばします。目はつぶらず半眼です。そしてできるだけ長く息を吐き、吐いた勢いでゆっくり吸うという呼吸を続けます。やがて宇宙との一体感を味わうことができます。勿論、1日や2日の坐禅でこの境地には至らないでしょうが、少しの時間でも毎日続けることにより、成道つまり仏道を成し遂げることができるようになるでしょう。

 もっと短時間で成道したいという方は、宇宙旅行費を貯めるなり、宇宙飛行士に応募して、ロケットの中で坐禅をしてみてはいかがでしょう。宇宙との一体感の中で、まさにロケット成道になるかもしれません。

 それでは又、12月11日よりお耳にかかりましょう。

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