テレホン法話
~3分間心のティータイム~
【第1209話】「コロナオリンピック」 2021(令和3)年7月21日~31日
住職が語る法話を聴くことができます
お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1209話です。
薬を与えることを「投薬」と言います。注射することは「注射を打つ」と言います。医療現場では、投げたり打ったり、かなりアクティブです。更にコロナワクチン接種に関連して、注射をしてくれる人を「打ち手」とまで言っています。ワクチン接種とはいえ、狙い撃ちされそうな感じすらします。
おかげさまで、狙い撃ちされて、先日町でのワクチン接種の2回目を済ませることができました。幸いにして接種時の副反応もありませんでした。ただ、打たれただけあって、左腕にかすかな打撲感は残りました。それでも「新型コロナワクチン予防接種済証」が手元にあるのは心強いです。ワクチンで十分な免疫ができるのは、2回目の接種後7日が経ってからだそうです。何とかオリンピックの開会式に間に合うというタイミングですが、今更それはどうでもいいことです。
ただ、オリンピックの理想とするところは、スポーツを通じて、世界の人々が手をつなぎ、世界平和を目指すことでもあるでしょう。そう思えば、私も含め極一部の人だけが、オリンピックに間に合ってワクチン接種が済んだと喜んでいいのでしょうか。国内外を問わず多くの人が、選手のみなさんの活躍は期待しつつも、素直に開催を喜べないでいます。それは純粋に手をつなげないからです。コロナ禍の中で、距離をとれ、声を出すな、挙句に無観客では盛り上がりません。
宮沢賢治は言いました。「世界ぜんたいが幸福にならないうちは、個人の幸福はありえない」。これは理想であり、世界全体の幸福を待っていたら、いつまでも幸福は訪れないかもしれません。しかし、事コロナに関しては、一部の人だけがワクチンを接種しても、ウイルス感染を防ぐことは不可能です。どこの国でも全体の6割くらいの人が接種を終えた時、感染の勢いが弱まるという報告もあります。その意味では、ウイルス感染防止のためのオリンピックこそ今開催すべきでしょう。
元より医療現場では、投げたり打ったりということが行われています。オリンピックのモットーである「より速く、より高く、より強く」ということを感染防止に活かしていくわけです。数多くのワクチン接種を速く済ませられる方法や、感染した重症患者を治療できる高い技術や、1回の接種だけでも感染防止できる強いワクチンや飲み薬の開発などを競うというオリンピックです。そこでメダルを取ったすぐれたものを世界全体で共有していくのです。そのくらいの覚悟をしなければ、コロナ終息は見えてこないかもしれません。
「雨ニモマケズ 風ニモマケズ 雪ニモ夏ノ暑サ二モ マケヌ丈夫ナカラダヲモッテモ コロナニハ カナワヌ」のだから、「アラユルコトヲ ジブンヲカンジョウ二イレズ二」世界全体を見渡す広い心を持ちましょう。
それでは又、8月1日よりお耳にかかりましょう。
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