テレホン法話
~3分間心のティータイム~
【第1173話】「配密」 2020(令和2)年7月21日~31日
住職が語る法話を聴くことができます

お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1173話です。
誕生日のケーキに歳の数だけローソクを立て、当人が一気に灯りを吹き消してお祝いすることがあります。仏事にもローソクは付き物です。しかし、灯を消すとき、息を吹きかけることは決してしません。息は不浄のものだからです。誕生日は自分の為のローソクだからよしとしても、仏事の場合は仏さまに供えるものです。
さて、大きな法要では、須弥壇にご飯やお菓子お茶などを供える作法そのものが、儀式の大切な流れになっています。導師を中心にして何人もの和尚さんの手から手へと渡り、一つひとつ丁寧にお供えされます。お供え終わるごとに導師はお拝をします。これを伝え供えると書き「伝供(でんぐ)」と言います。伝供を際立たせていることのひとつに、樒(しきみ)があります。和尚さん方は樒の葉っぱを唇に挟んで伝供の作法をします。大事な供物に息をかけないようという配慮のためです。
樒は常緑樹で葉っぱは肉厚です。その葉っぱに10円玉くらいの金属を当てて、丸くくりぬき、水を入れた容器に浮かべておきます。伝供の時それを1枚唇に挟みます。樒は全体に香りがあり、よく仏前にに供えられますし、葉っぱから抹香や線香を作ることもあります。樒という字は木偏に秘密の密と書きます。よって伝供の時挟む樒(しきみ)を樒(みつ)と呼んでいますし、それを準備し配ることを配樒(はいみつ)と言います。尊い仏さまにお供えするのだから、決して粗末にならずに、清浄なものをという先人の心遣いに感心させられます。
ところで、新型コロナウイルス感染予防のため、マスク姿は当たり前になり、「3密」への配慮も様々工夫されています。いわゆる密閉・密集・密接をできるだけ避けて、ウイルスの飛沫感染リスクを抑えるためです。3密に配慮するという意味では、これも「配密」と言えるかもしれません。ウイルス感染とは別にしても、やみくもに臭い息を吹きかけるのは、無礼千万(ぶれいせんばん)なことです。
息をするのは生きている何よりの証です。そして自分の息が他人を不快にさせることがあるように、突き詰めれば、生きているとは人に迷惑をかけることなのかもしれません。勿論それはお互い様のことだから、許し合っているところもあります。しかし、こと命に関する限りは、お互いが命取りになりかねません。すべてが不浄な息とは言いませんが、ウイルスは目に見えない厄介者です。もしかしたらコロナとは、息の長い付き合いをしなければならないかもしれません。息を抜くことなく「配密」等に心がけましょう。
因みに樒の香りの成分は、花瓶の水の腐敗を防ぐそうです。以前は樒を防火用水漕に入れてボウフラの発生を防いだとか。樒の香りのようなウイルス退治のワクチンが一日も早く世に出ることを、息を殺して待つしかないのでしょうか。
それでは又、8月1日よりお耳にかかりましょう。
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