テレホン法話
~3分間心のティータイム~
【第1136話】「迷う紫陽花」 2019(令和元)年7月11日~20日
住職が語る法話を聴くことができます
お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1136話です。
梅雨の真っ只中ですが、インドでも同じように夏の雨季の時期があって、その間僧侶は外出をすると、草木や虫などを踏み殺すということで、一カ所に留まって修行しました。それを安居(あんご)といいます。安心の「安」と居住の「居」と書きます。現在でも我々が道場に籠って修行することを、安居と言っています。
さて、どうして安居修行するかということです。現代においては、僧侶として一人前の資格を得るため、ということがあるでしょう。それを否定はできませんが、本来は出家して道を求めて、多くの修行僧と切磋琢磨して、悟りを得るという大きな志を抱いて精進することです。
修行道場でいささかの安居経験がある私ですが、まさに人生の中における様々な経験のひとつというほどのものです。経験の域を超えた「生涯安居」と言えるものではありません。貴重な経験だったとはいえ、あれから数十年の歳月が流れました。もはや悟りの「さ」の字も、日常生活には反映されていません。
そんな私ですが、誤解を恐れずに言えば、悟りの一面を次のように捉えています。「生きていることは迷いであり 死んだ時が悟りだ」私たちは1日24時間、1年365日迷わない時はありません。朝になってもっと寝ていたい、夜はいつまでも起きていたい、好きだ嫌いだ、ごはんよりパンが食べたい、等々きりがありません。そして人生最期にして最大の迷いは、生きていたい死にたくないということではないでしょうか。
迷いに迷い、欲や煩悩に振り回されての我がままな日々を、何十年過ごそうとも、必ずや死ぬ時がやってきます。かなり即物的は言い方になりますが、死んだ肉体に痛いも痒いもなく、好きだ嫌いだという心の葛藤もなくなるでしょう。迷いがなくなったということでは、悟りと言いたいのです。
勿論、生きてくと言うことはそんなに単純なことではありません。迷うということは選ぶということ、選ぶには知恵と力が必要になります。その過程がその人の人生に彩を与えてくれるのでしょう。次のような俗謡があります。「迷う紫陽花 七色変わる 色が定まりゃ 花が散る」迷い悩みながら過ごしていても、そのうち自分の人生はこの色で良かったと思える時が来ることを信じましょう。安居経験者の私でも迷いは消えていません。ただ紫陽花の色の変化を愛でる心が、年々培われているような気がします。
ここでお知らせいたします。徳泉寺復興の仕上げとして復興誌『青空があるじゃないか』制作のためのクラウドファンディングを展開中です。「レディーフォー徳泉寺」で検索してみて下さい。
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また6月のカンボジア・エコー募金は、127回×3円で381円でした。ありがとうございました。
それでは又、7月21日よりお耳にかかりましょう。
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