テレホン法話
~3分間心のティータイム~
【第833話】「星は何でも知っている」 2011(平成23)年2月11日-20日
住職が語る法話を聴くことができます
お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第833話です。
「土俵には金が落ちている」との名言を吐いたのは、初代若乃花だそうです。この言葉を曲解したのでしょうか。今や大相撲では、負けて先に手を付いた方が、勝った者より、金を拾いやすいとでもいうように、わざと負けて金を受け取る八百長相撲が発覚しました。「大相撲史上最大の汚点」として、春場所は勿論のこと、真相解明まで本場所は中止という事態に追い込まれました。冒頭の言葉は、一所懸命に精進して強くなれば、土俵上でいくらでも金を稼げるようになるという、励ましの言葉であったはずなのです。勿論、弱くて負けたら一文にもならないということでもあります。
今回の問題は、その一文にもならないというところにもありそうです。十両以上の関取衆には、相撲協会から月給が支払われます。十両でも月給は103万6千円という、一般社会からすれば十分な高給取りです。ところが、ひとたび十両を陥落し、関取でなくなると、月給はゼロ円。幕下では、本場所の時だけ出る手当として15万円が支払われるのみです。関取とそれ以下では、天と地の差がある訳です。そこで、十両から落ちそうな力士は、多少のお金を払っても勝ち星を容易に稼ぎたいということになります。
私たちの想像を超えた「天と地の差」かもしれませんが、その差を前向きに捉えて、「土俵には金が落ちているのだから、頑張って上を目指そう」と、たいていの力士は稽古に励み、本場所で力を出し切っていたはずです。常人を超えた力のぶつかり合いが、多くの感動を呼び、時に人を励ますこともあったことでしょう。国技として手厚く見守られてもきました。それなのに一番でも八百長相撲があったとしたら、これまで真剣勝負であったと思ってきたことに虚しさを覚えます。
さて、2月15日はお釈迦さまがお亡くなりになった日です。お釈迦さまの最期の説法ともいわれる『遺教経(ゆいきょうぎょう)』というお経の一説に、「常に当(まさ)に一心に諸(もろもろ)の放逸(ほういつ)を捨つること怨賊(おんぞく)を離するが如くすべし」とあります。常になまけ心を捨てることを、あたかも怨むべき盗賊から離れるように務めなさいということを、お釈迦さまは、最後の力を振り絞って言い残されました。それだけに、人として最も心すべきことと受け止めるべきでしょう。
稽古もせずに、なまけ心で、勝ち星を買い取ろうというのは、怨むべき盗賊そのものです。客観的に八百長や無気力相撲を見分けるのは難しく、「怨賊を離する」ことは不可能に近いといわれています。しかし、売買された勝ち星は隠しようがないでしょう。「星は何でも知っている」のですから・・・。
ここでご報告致します。1月のカンボジア・エコー募金は、255回×3円で765円でした。ありがとうございました。
それでは又、2月21日よりお耳にかかりましょう。
最近の法話
【1329話】
「色褪せない思いやり」
2024(令和6)年11月21日~30日
お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1329話です。 個人的な話で恐縮ですが、11月21日で74歳になりました。古稀と喜寿の中間で、特別な意味はありません。またこのテレホン法話を始めて、今年で37年になります。これも40年にも満たず、特別感はありません。しかし、37年の倍が74年ということに気づきました。つまり我が半生はテレホン法話と共にあったということです。袈裟を... [続きを読む]
【1328話】
「お舎利」
2024(令和6)年11月11日~20日
住職が語る法話を聴くことができます お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1328話です。 新米が出ると真っ先に、お寺に持ってこられ「ご本尊のお釈迦さまにお供え下さい」という檀家さんが何人もいます。ほんとうに有り難いことです。そのお下がりをいただく度に、「銀シャリ」を実感します。 シャリは寿司屋の符丁ですし飯のことです。お釈迦さまの遺骨はインドの言葉「シャリーラ」を... [続きを読む]
【1327話】
「祇園精舎の鐘」
2024(令和6)年11月1日~10日
住職が語る法話を聴くことができます お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1327話です。 平安時代の頃、琵琶法師は琵琶を弾きながらお経を読みました。その後、平家物語に曲をつけて語る流れができました。仏教との関りは古いのですが、残念ながらこれまで、琵琶を聴く機会がほとんどありませんでした。 10月27日に徳本寺で行われた「第18回テレホン法話ライブ」で、やっとその心... [続きを読む]
テレホン法話
~3分間心のティータイム~
- 2024年
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2023年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2022年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2021年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2020年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2019年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2018年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2017年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2016年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2015年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2014年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2013年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2012年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2011年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2010年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2009年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2008年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月