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お墓参りする理由

20100621.jpg ―墓参りしない理由に「千の風」―という川柳がありました。死んだ人はお墓にはいないと錯覚してしまうような歌詞の内容がもたらしたものでしょう。
 果して、お墓とは、そんなに即物的なものでしょうか。
 今回は「お墓参り」についてのお話です。

問 墓はどうしてあるのでしょう。
 遺体や遺骨を葬るところとして必要なところです。
問 墓石を立てるのはなぜでしょう。
 お釈迦さまが亡くなって、ご遺骨を埋めた上に、土を盛って塔(ストゥーパ)を立てました。拝む対象となりました。古来日本では、依代(よりしろ)といって、死者の霊魂が宿るものとして、石や木を置き、手を合わせてきました。それは目印でもありました。
問 亡き人の肉体は、「千の風」の歌詞のように、そこにはないのですね。
 物理的に言えば遺骨以外はありません。しかし、死者を肉体と霊魂に分離して、葬式からは供養の対象は霊魂に移っているので、肉体のあるなしで、供養を論ずるべきではありません。
問 霊魂はほんとうにあるのですか。
 ここで言う霊魂は、いわゆる魂(たましい)ということで、人間も含め、広く動植物などに宿り、心の働きをつかさどるもの。拡大解釈すれば、肉体以外のその人の存在ともいえるかもしれません。
問 遺された私たちからすれば、亡くなったことをすぐに諦めきれない。その人の存在があまりにも大きかったから、というような思いも含まれるわけですね。
 その通りです。生前のおかげを思ったり、肉体は無くなっても、亡き人が、私たちの心の拠(よ)り処であって欲しいという願いがあればこそ、お墓参りをせずには、いられなくなるわけです。
問 お線香やお花やお水を供えるのは、亡き人に対して、"生きておわしますが如く"にふるまうということですね。
 何年経っても、あなたの存在を忘れません。いつまでも私の心の中に生きていて下さいという願いのあらわれが「お墓参り」ともいえます。
問 お盆お彼岸は勿論ですが、それ以外にはどんな時に、お参りをすればいいですか。
 その方の命日の時ですね。
問 年回忌に当っていなくともすべきですか。
 1周忌3回忌などという時ばかりではなく、命日は毎年やってきますから、できるだけお参りしましょう。月命日(4日に亡くなったなら毎月4日をいう)毎にお参りする方もいます。
問 命日以外でも、何か嬉しいことがあったときや、悩み事があるときなどでも構いませんか。
 大いに結構です。いつも良い報告ができるようにと、精進することにつながります。困ったことでも素直に打ち明ければ心も軽くなります。
問 お墓参りで元気をもらうことができそうですね。
 ある方は両親を亡くしているのですが、ご自分の誕生日には必ず両親のお墓にお参りしています。自分の誕生日があるのは、両親のおかげだからと、感謝の気持を込めて、手を合わせていますよ。「我が生まれし日は母の受難の日」と言います。命がけで授かったこの命は有り難いものです。